アンファン・テリブルエリート


概要
元品行方正児童会の前川麻子を中心とする企画集団。

構成員
主な作家
前川麻子
主な演出家
前川麻子
主な役者
渡辺杉枝
加藤忠可
主なスタッフ
劇団の公式ホームページ
アンファン・テリブル

過去の公演

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主婦マリーがしたこと

 脚本・演出の前川さんや何人かの役者の方とお話した後なので、
ほめるにせよけなすにせよ気が重いのだけど、書いてみます。

 一言でいうと、僕にとっては、ある意味で目からうろこが落ちる
思いのしたお芝居でした。でもこれについては、芝居一般への個人
的な思い入れにつながるところが大きいので、いまここで直接は書
きません。

 話については、すでに何人かの方が書かれているとおり、かつて
フランスで堕胎の罪により死刑を宣告された主婦マリーのエピソー
ドを、現代日本の主婦売春の話に重ねた内容になっています。

 売春という言葉から安易に連想されるダーティーなイメージとは
裏腹に、登場する女性達は、それぞれイノセントです。現れ方に差
こそあれ、彼女達の自分に対する向き合い方、男性に対する向き合
い方、あるいは社会に対する向き合い方は、根本において悪意のな
い純粋なものにみえます。

 それでも、結果的には彼女達はそれぞれにどこか悲しい運命を背
負わされることになります。その原因は、彼女達が女性であるとい
うことです。むろん、女性であることそのものが悲しみを内包して
いるということは一般的に正しくない言い方でしょう。女性である
がゆえに幸福である人はいくらでもいるはずですから。ただ、この
芝居に登場する女性達は、この社会の中で、あるいは男性との関係
において、あるいは自分自身とのかかわりにおいて、女性という自
らの性をうまく把握し扱うことができずにいるかのようです。自分
の女性の性を制御できずにとまどっているかのようです。

 イノセンスも真摯さも、そして悲しみへと合流してゆきます。

 そんな女性達の悲しさがあふれます。

 でも、これは悲しいだけの芝居ではありません。

 というと語弊があるかもしれませんが、ともかくカーテンコール
で役者さん達が舞台に並んだとき、僕はかなり明るい気持ちで手拍
子を打っていました。

 女優が頑張っています。

 渡辺杉枝は、主婦売春の親玉渋谷夫人の役ですが、イノセントな
危うさにあふれています。女中さんを雇いたいというイノセントな
動機こそが渡辺杉枝であり、夫に対する荒唐無稽でイノセントな信
頼の仕方こそが渡辺杉枝です。そして、イノセンスゆえに渋谷夫人
はますます悲しく、悲しいがゆえに渡辺杉枝はますますイノセント
です。

 今江冬子はクール(冷静じゃなくて、米口語のcool)です。松田
環はあっけからんです。落合ひとみは聖母のようです。加藤尚美は
一途です。井沢希旨子は優しいです。渡辺真起子は突っ張ってます。
中島花代は無邪気です。それゆえ彼女達の演じる女達はますます悲
しく、悲しいがゆえに彼女達はますます彼女達らしいです。

 男優もいいです。村松克己、高橋広司の二人が散漫になりがちな
舞台を強くひきしめます。加藤忠可、小林三四郎、和久田理人、稲
増文の個性は強烈でした。冒頭の加藤のモノローグなんかは最高だ
ったし、稲は誠実さにあふれていました。

 ただ、ゲイ役の3人の配し方は失敗だと思うし、小市慢太郎や若
杉宏二はやや出番が薄くて残念、町田正明といしかわじゅんは固さ
の殻がとれていないように思いました。

 ひとつの問題は、役者が多すぎるということでしょう。僕は2度
みましたが、1度目みたときは役者の把握に手間取って集中をそが
れる感じでした。もう少しすっきりさせた方が、1度しかみれない
ふつうの客に対しては親切でしょう。

 もうひとつ、これは言っても仕方ないのですが、僕がいまだ女性
に妊娠させたことのない男性だということ。男性の描き方が薄いせ
いもあって、自分にとっての切実さという点でどこか遠さを覚えて
しまうのです。そういう意味で、僕はこのホンにそれほど興味を持
てませんでした。

 ホンにそれほど興味がないのに2度もみにいってしまったのは、
それだけほかの部分が魅力的な舞台だったということでしょうか。

 最後につけたしになりますが、宣伝美術がすごく好きでした。カ
レンダー買っちゃいました。無料簡易パンフは歓迎。音楽はおおむ
ね良かったけど、"Good day sunshine" にはちょっと違和感が……。

 そうそう、エッチなところは僕は断然支持します。

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【主婦マリーがしたこと】 アンファン・テリブル エリート
 1994.7.15-26 全席自由 7/19・21ともに2列目より観劇
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SOUL OF SILVER (95.08)

(下の文章の文責:まねきねこさん)


8/26(土)7:35-8:35PM 晴 六本木キャラメル アンファンテリブルP(0429-44-9017)
 「SOUL OF SILVER」   作:前川麻子 前売当日3000(1ドリンク付)
 正面2列より 客席満員(50)

 先月のみのすけに続く、二人芝居シリーズ。今夜は、元・天井桟敷->元・万有引
 力の高田恵篤(けいとく)。白塗りとかで怪しく行っちゃてる芝居でも、どこか
 和む雰囲気持ってる高田さん。もちろん肉体派で、逆三角のいい体だし。好きな
 男優のひとり。

 お話。男と女、競馬とか。ホステスと日雇い労働の男。馬に賭けることで、どこ
 かに走り行く夢を抱く男。男は、そんな自分に女が賭けてくれることを願ってい
 る。青森から東京と場を変え、踏み込みそうで一線引いてる二人の世間話。競馬
 や馬の夢、青森への憧憬とか、寺山修司の香りもあり。
 
 なんか肩の力抜けてて、いー感じ。前川さんの最近の芝居って、男と女ぎりぎり
 もので、正直辛かった。ねこも、水割り呑んでリラックスしてたせいもあり。お
 気楽、楽しげで○。中盤。前川さんが騎手(おもちゃの馬に乗る)。高田さんが
 その馬(かぶり物する。)。調子いいなとか騎手がいろいろ考えてる脇で、馬は
 「風が強くて気持ちいい」と快楽のまま、動物のまま。わかりあってもなくても
 、どっちも気持ちよければいいのだ。好きな場面。微笑みねこ。あと原発のこと
 、ちらほら出てたけど、ちと暗い影で好きじゃない。それと。ねぶたか、ねぷた
 か話。青森のが「ぶ」で、弘前のが「ぷ」でしたっけ。男は下北半島の人らしい
 ので、「ぷ」なんでしょうね。春ころ、青森出張してたんで、聞きかじりねこ。

 次回は、SOUL OF ORANGE(9/29,30,10/1)。流山児事務所の井沢希旨子と。楽しみ
 (8/25-27 3ステ)



SOUL OF ORANGE (95.10)

(下の文章の文責:まねきねこさん)


10/1(日)7:00-8:00PM 曇 六本木キャラメル アンファンテリブル(0429-44-9017)
 「SOUL OF ORANGE -SOUL OF COLORS PART3-」作:前川麻子 前売3000,当日3500
  最前列より 客席満員(40人)

 前川麻子・二人芝居シリーズ?。みのすけ、高田恵篤ときて、今回はキュートな井沢
 希旨子(流山寺★事務所)。ちいさなライブハウス。客入れでは前川さんとぽつ
 ぽつしゃべってメイク。1m前の彼女の唇と細い足にどきどき・おやじねこ。

 お話。ようこ(井沢)とケイ(前川)は、おともだち。飲み友達。コロナビール
 の瓶にライム一欠け。ようこは、ちょっとイノセントな子。さっき、トイレで血
 どばっとでた。それって流産したんじゃ?。うーん、でも平気。なんかいも、お
 ろしてるし。無頓着そうにしてて、急に悲しくなって泣いちゃったり。そんな子
 ケイは、おかま。つっぱてる。コノ世にホントのことがないなら、うそもないん
 だよなんて。あんたの不幸はその大きな胸に詰まってんじゃないなんて。でも、
 いいひと。信じられるひと。なんとなく、一緒の二人。だけど、ある日、ようこ
 の男とケイは寝ちゃう。怒るようこ。変態野郎とか、言いたくもない、思いもし
 なかった言葉。ケイはひとり。タバコって、じっとしてるだけで煙、回りに悪く
 するんだよね・・。なんか、岡崎京子のマンガ、彷彿。短いシーンを重ねた舞台

 あまり役つくりしてないような。そのままの二人が眼前にいるようで、なんかど
 きどき。おかま役とか、ひねってるけど、演技が妙な訳じゃない。最初、メイク
 の濃いだけのヤンママ(大失礼なり)かと思った。ようこは芝居やってるし。虚
 実ないまぜありそなとこに、またどきどき。水割り飲みながら観たせいかしら。
 ひさびさ前川さんのつっぱった面、観れて、辛かったり妙に安心したりねこ。
音楽。80年代中心で一杯。ブロンディで始まって。ドナルド・フェイゲンとか
 、スタイリティックスでチーク踊ったりとか。いい感じ。

10月はワークショップ。11月3週に、DJ星野さんと「SOUL OF BLACK」だそうです
 (9/29-10/1 3ステ)



(下の文章の文責:一寸小丸さん)


アンファンテリブルP Vol.3「ソウル・オブ・オレンジ」10月1日7時(1:00')
六本木/キャラメル 前3000 当3500 9/29〜10/1(3st)
出/前川麻子・井沢希旨子 0429-44-9017 客40(ほぼ満員)

ソウル・オブ・カラーズシリーズの3回目「オレンジ」は流山児事務所で活躍する井沢
を迎えての公演。前川さんと井沢さんは、過去に2度共演しているそうで、2度ともキ
スしているそうです。また、前川さんの代表作「センチメンタルアマレットポジティ
ブ」の久々の再演の時にも、井沢さんは出演してました。あん時、このフォーラムでオ
フして井沢さんや前川さんとの打ち上げがあったんですけど、それがもう3年も前だな
んて・・・。

ソウルオブカラーズは、岡崎京子の「ピンク」をストレートに舞台化しようとの企画か
ら始まったそうです。前川ホテトル嬢と、そのペットのワニ役のケラで。企画はボツっ
たが、「ピンク」の世界を維持して、みのすけを連れてきて行った「ソウル・オブ・ピ
ンク」を7月に行い、毎月、前川の相手役を変えて、続けている。

二人の役者のセッションに止まらないのは、DJ星野正志さんの参加が大きい。登場す
る二人の断片的な瞬間を暗転で繋いで行くのですが、その暗転にかかる星野さんの曲が
かっこいいので、芝居が切れないのです。選曲の妙というか、前川・井沢が構築した世
界を、緊張感そのままに次へと引っ張る星野さんのテクは、すごいです。

今回の役は、おかまのケイちゃんに前川麻子。お水なお仕事のギャルヨーコちゃんにイ
ザワキシコ。

デザイナーとかダンスインストラクターとかの芸を持たない、ただのおかまのケイちゃ
んってのは、かなり悲しいものがありますが、見るからに多彩な前川さんは説得力に欠
けますね。だって目つきがかっこよすぎるんだもの。くわえタバコで、自信満々で、
「あーあ」とか言っても、なんか見るからにタフガイなんだもんね。

一方井沢は、頭の弱い、でもって多感なギャルで、平気で周囲を傷つけまくるという岡
崎京子の定番登場人物だ。岡崎京子の世界に、グサグサもんの傷つけ合いは欠かせな
い。残念ながら、井沢はそれをきちんとは描ききれていない。きっと自意識過剰な役だ
ろうに、表情があまり変化しないのだ。じっとしているだけで、魅力的で美しい彼女だ
が、それがコロコロ変化したらもっとすごいだろうに。斜に構えたおかまのケイちゃん
との対比でも、ヨーコちゃんにはハデに変化して欲しかった。だから、エンディングの
興奮が、唐突に感じられるのだ。前川さんは、それが唐突だとしたら、それはホンのせ
いだ、と自分を責めていたが、それは違うね。井沢が作っていないってことだ。この、
稽古三日、二人役者のさらし者舞台の意図を理解していないということだ。

と、井沢を非難しまくる私だ。私が前川さん自身をいじめても、平気になってしまって
いるようだが、大好きなキシコがここまで言われたら、きっと黙っていられまい、とい
う読みだが、はたしてどうなるだろう。へへへ。

見ている間中、これはやっぱ前川一人が晒しもんになるやつの方が面白いんじゃねー
か、と感じていた私だ。制作的に難しいのかもしれんが、前川さんの感性に追いついて
これる役者はそう多くはないもんな。実際、相手役を探しているらしい。ついでに制作
も募集しているらしい。

見終わって「無理やりバラシを手伝って、打ち上げに参加しました。前川さんと
      井沢さんにはさまれて、幸せでした。井沢さんに酌してもらったの
      に、面と向かって「おめーはよぉ」とか言って怒らせてしまいまし
      た。前川さんは酌してくれませんでしたが、そーゆーとこが好きで
      す。私は制作はお手伝い程度ならできます。」



SOUL OF BLACK (95.11)

(下の文章の文責:まねきねこさん)


11/18(土)7:30-8:30PM 晴 六本木キャラメル アンファンテリブル(0429-44-9017
 「SOUL OF BLACK -SOUL OF COLORS PART4-」 作・出演:前川麻子
  前売3000,当日3500 最前列より 客席ほぼ満員(40人)

 シリーズ4回目。今までの2人芝居から、前川さん一人。というか、DJ星野正
 志+前川麻子・一人芝居。テーブル、椅子置いただけ舞台。客入れからいつもの
 よう、たばこフカーで手書き台本?見てる前川さん。星野さんは後方でレコード
 回す。ソウルフルな曲の間、たくろうや細野晴臣:北京ダック=大好き。水割り
 のんで。ねこ、いい気持ち。眠くなっ。。。 !さりげに開演。

 ◎。かっこいい。21のシークエンス。いまどきの?男の子と女の子の気持ち、
 あれこれ。多感でいて、身勝手、たくましい、可愛いばか野郎な子。岡崎京子の
 世界。お姉さんにモデル誘われて、だましって分かってても、あこがれだから。
 で彼女に呼ばれて、おやじと変態3Pプレイでひどいコトナッテモ、知らないよ
 か、知ってる悪魔のがいいって。もらった金は貯金する子とか。ねこは、世界っ
 て自分の知識だから、外じゃなく内にある。だから昨日と今はあっても、明日は
 ないっていう子の話に、共感。

 パンツ、プルオーバー?、ブーツ、皆黒に銀ペンダント。無造作に見える仕草、
 たばこ芝居、○。なのに、真っ直ぐ前見て、女の子演じる時、微妙はずかしげ。
 なんか初々しい。そう感じるのはねこだけかしらん。力のいい具合抜けて、楽し
 そう。エンゲキやるんだぞで、変な気合いなし。途中の休憩:ドリンクタイム、
 ほんじゃとさりげに。なんかいいなあ。
 
 DJ・星野さんも◎。ノンストップで前川さんサポート。場面変わりの曲の立ち
 上げとか、ほんとかっこいい。選曲もグー。"I Believe In Miracle"。好き。
 今回はスクラッチとかも。たまに前川さんと会話絡んだり、のびのび。

 客もいい具合入っていて、時間もちょうど1時間。密やかな楽しみ。これ以上、
 お客増えないでと、身勝手願いねこ。
 次回は12/14-16。"SOUL OF GOLD"。ワークショップの生徒+青空美人の役者+前
 川 各さん。それから。大人計画の松尾スズキとやる企画中とか。すごいぞ。観
 たい。「ちょん」のアンケートに、「キャラメルで前川さんとやって」と密かに
 書きましょう。(でも、キットお客いっぱいなるな。うーん。)
 (11/17,18,19 3ステ)


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にしかど(nskd@enpe.net)