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ロミオとジュリエット (95.07)

(下の文章の文責:一寸小丸さん)


水戸野外劇 '95「ロミオとジュリエット」7月29日(土)7時(1:36')
茨城/水戸芸術館広場 1500円 7/28〜30(3ステ)
原作/シェイクスピア 構成・演出/安田雅弘 029-227-8123 客500(満員)

「安田雅弘」 「市民100人」 「シェイクスピア」

山の手事情社で新しい劇作手法を実験している安田雅弘が、茨城県水戸市民のアマ
チュア有志100人を相手にシェイクスピアの「ロミオとジュリエット」に挑んだ。
「恋は命がけのスポーツだ」をテーマに、水戸芸術館前の広場にアメリカンフット
ボール競技場を模した野外劇場「恋のスタジアム」を出現させ、出演者はアメラグ
ウェアで統一、キャピレット軍はオレンジ、モンタギュー軍はブルーが基調のポッ
プファッションで、現代の真夏の夜の、夢のきらめきを・・・。

上野から常磐線で片道2時間。青春18キップを使えば往復2300円だ。「水戸
野外劇」は今年で6年目。過去5年の実績を踏まえ、町に演劇が根付きつつあるこ
とを反映した「市民演劇学校」へと活動を移行することになった。そのきっかけの
年に、新しい現代演劇を実践している安田雅弘が招聘された。「現代演劇」と呼ば
れながらも、ちっとも現代的でない演劇が多いことを水戸芸術館ACM劇場芸術監
督・支配人松本小四郎氏は理解しているようだ。現代を反映していない「現代演劇」
からは学ぶべきものはない、と言う。安田氏との出会いに、大きな期待を抱いてい
る。

客電が落ち、舞台が明るくなると、ぞろぞろと両軍が走り出てくる。二手に分れた
それぞれは、オレンジとブルーが基調のハデハデファッション。次に、メインキャ
ストの名前が告げられると、舞台奥の大階段を、一人一人がかけおりてくる。味方
チームは大歓声、敵方チームはブーイングだ。紹介されたキャストは、味方チー
ム全員の前を手を合わせて通り過ぎる。市民や牧師らの衣装は、両軍ユニフォーム
とは大きく違っており、その特長であるゼッケンが紹介される。

全員が揃ったところで選手宣誓。両軍を代表し、ロミオ&ジュリエットが命を賭け
て恋に邁進することを宣言する。

さあ、開会式のクライマックスだ。最後は舞台全員に加え、客席も全員起立しての
テーマソングの斉唱だ。こんなときの歌はもちろん、山川啓介先生作詞、いずみた
く先生作曲で、青い三角定規が歌いレコード大賞新人賞に輝いたあの名曲「太陽が
くれた季節」だ。配られた歌詞カードを手にした群衆により、水戸の町は、これか
ら始まる恋の予感にうち震えたのだった・・・。

ってな感じで芝居は始まったのです。もう、こんだけで小丸は十分楽しかったっす。
水戸まで来たかいがあったってなもんです。安田さんは自らハンドスピーカを持っ
て客入れしまくったあげくに「ヨイショ」まで始めるし。最前列の小丸の左横には
中学生の女子が二人、右横には小学生の娘二人を率いたおじさんおばさん。めった
にできる体験じゃございません。小学生の姉の方が開演前に「娘:(茨城弁で)お
とーさん、ロミオとジュリエットって知ってる?」「父:うむ」「娘:・・・これ
って英語で喋るの?」「母:ニホン語」「娘:ふーん」。両親はあくまで寡黙であ
った・・・。

ハイスピードで芝居は進みます。出会った二人が愛を確認しました。その瞬間、舞
台の雰囲気が変わって、音楽。カラオケのドリカムは「サンキュ」。舞台中央でマ
イク持って女性が歌ったっす。愛し合いながらも、ロミオが犯した罪で悲しみの時
が訪れます。その瞬間、舞台の雰囲気が変わって、音楽。カラオケのミスチルは
「クロスロード」。下手の高いとこで男性が歌います。そんで、歌って盛り上がっ
ている間に、メイン舞台で二人が出会ってから燃え上がり、悲しみの時が訪れるま
でがダイジェストで再現されます。ミスチルの盛り上がりに、「ジュリエットォォ
ォッ」そして、「ローミーオーォッ」で、暗転。

途中では、山の手事情社の山本芳郎と倉品淳子指導による山の手ダンスが全員で披
露される。これが、うまい。ってぇか、山の手のダンスって、技術じゃないんだよ
ね。踊っている人が楽しんでいるのが通じるから、それだけで楽しめる。あのダン
スの稽古って、爆笑の連続だったことが目に見えるよ。面白かったぁ。

いろんな人が出てた。女性が多かったけど、子供からおっさんまで、いろいろ。身
体の不器用な人も、一生懸命踊ってた。おもしろーい。

芝居の間中、ずっといろんな曲がかかっていた。音楽が支える手を使ってたわけだ。

演技はただ、熱演してただけでしたが、どうしてか感動させられた。演技と呼べる
程のものじゃないけど、シェイクスピアのセリフまでもが面白いと感じられてしま
ったのはなぜだろう。ワイヤレスマイクで拾った声は、聞きずらいけど、ま、よく
知られた話しですから、あまり関係ない。泣いたりわめいたりで伝わる。あと、芝
居の切れ目で、タイミングよく風が吹いて、私の心を揺さぶるのが、野外劇ならで
はだった。まるでキッカケを合わせたかのような風のタイミングなんだよな。

舞台前にロミオとジュリエットの亡骸が横たわり、悲劇で幕は降ります。そしてラ
ストのフィナーレ、全員による山の手ダンスで大盛り上がりのうちに、一夜の夢は
消えてしまいましたとさ。

照明にしろ音響にしろ舞台装置にしろ客席にしろ、意外な程キッチリ作られていて、
それほど野外劇って感じしなかった。確かに空気は野外でしたが、芝居そのものは
劇場でも十分再現できるもの。なんつうか、この感じで全国でやれると、演劇の現
状もずいぶん変わるんだろうに、とか思う。両脇の小学生と中学生の娘達の心を、
この芝居がしっかりとつかんでしまったことを、私は疑いようがない。

見終わって「ガキにはこーゆーのを体験させるべきです。」


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にし○ど(nskd@enpe.net)