MONO


概要
立命館大学のOBを中心に89年に京都で旗あげ。会話の妙と小人数の登場人物によって関係を見せていく芝居をする。

構成員
主な作家
土田英生
主な演出家
土田英生
主な役者
西山智樹
土田英生
一色正春
尾方宣久
水沼健
主なスタッフ
劇団の公式ホームページ
http://www.nk.rim.or.jp/~mono/

過去の公演

劇団リストのページへ

路上生活者

 短くあっさりしているがなかなか興味深い舞台だった。

 MONOは、立命館大学のOBを中心に89年に京都で旗あげし、
会話の妙と小人数の登場人物によって関係を見せていく芝居をする
らしい。(チラシより抜粋)

 タイトル通りホームレスの人々の生活を描いた芝居である。とい
ってしまうと半分本当で半分嘘になるだろう。

 まあ確かに、登場する彼らはまぎれもなくホームレスである。だ
が、彼らはこぎれいで無精ひげのひとつもないし、髪はきっちりき
まっているし、服もボロいとはいえ結構おしゃれに着こなしている。
しかも、若くてハンサムである。これは「違和感あり」と糾弾され
ても仕方のないところだが、問題は、彼らがそれを隠そうとしてい
るようにはまったく思われない点である。彼らは本当にホームレス
の生活を描きたかったんだろうか?

 まあ、解釈は人それぞれだけど、私はこの芝居は、ユース・モラ
トリアムの芝居だと思った。彼らが描いたのは、ホームレスの生活
風景ではなく、イマの男子大学生の心象風景である、と。

 もちろん、実際の大学生は一般に貧乏でもなければ禁欲的でもな
い。むしろまったく逆に、裕福で快楽主義的である。だからこそ、
作り手はこれを逆転させてみせたのだろうと思う。そうすることで、
そうした表面の裏にあるもっと本質的な精神の風景をあぶりだしに
してみせたのだ。

 彼らは街の新しい建築物に異様に詳しい。が、ただ、見ているだ
けである。意味もなく集合して、意味のないゲームに興じる。自動
販売機を眺めながら、他人の選択に賭けをする。隣の住人の生活を
やたらと気にかけるが、何の働きかけもしない。言葉を失った仲間
の、みえない心の傷を核に寄り集まり、ただ過ぎる毎日。

 そうした日々が、心象風景が、批判的すべきものとしてではなく、
ただ、少しおかしくて少しせつないものとしてそのままに提示され
ているところに、この芝居の魅力があると思う。

 言葉を失ったはずの彼がラストであげる「あっ」という悲鳴は、
だから彼らの生活に風穴を開けるかもしれないし、あるいは何も変
えないのかもしれない。それは芝居では語られず、観客の想像にゆ
だねられる。この余韻はいい。

 芝居の前後にいれた短い挿話も、本編の現実感をふっと抜いてい
く感じでおもしろい。

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
【路上生活者】 MONO Vol.16
  作・演出:土田英生
  出演:西山智樹 金替康博@時空劇場 土田英生 一色正春
     尾方宣久 水沼健
 1994.2.18-19 こまばアゴラ 2.19 Sun Sw
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−


(下の文章の文責:村田さん)

 もう、2月は当たりが多くてうれしいですよ僕は。雰囲気を言ってしまえば、「 センスのポップなカクスコ」といった感じでしょうか。いや、全然似てないけど。 男ばかり6人くらい出てくる劇団で 、ジョビジョバっぽくもない(=役者の魅力以外にも脚本の仕掛けが大きい)。全 然期待しないで行ったんですが、思わぬめっけもんでした。

 ホームレスの人々のささいな日常的会話を基調として、それぞれの性格や、生き ることの「何か」を思い起こさせてくれます。道行く人がどの缶ジュースを買うか 、とか、どうして言葉って出来たんだろう、とか、本当に取り留めもない話題に対 する切り口がうまい!精神的ダメージから喋れない男が一人ホームレスにいるわけ なんですが、彼がサイゴに思わず発してしまう「あ」。これで物語自体も落ちちゃ うんですが、その辺の問わず語りっちゅうか、わびさびっちゅうか、若いのに(僕 も若いが)大したモンだ。

 芝居って、語らなくてもいいところまで語っちゃう癖のあるから上演時間長くな ったりするんだけど、最近はMONOとかオハヨウノムスメみたいに、語る必要のな いものをばっさり切っちゃう劇団の方が面白いところが多いですね。この二つは全 然違う芝居ですが。別ユニットでガバメント・オブ・ドッグスというのもやってい るらしいので、そちらもみたくなりました(作家が違うそうですが)。


劇団リストのページへ
にしかど(nskd@enpe.net)