にんじんボーン


概要

構成員
主な作家
宮本勝行
細谷マリコ
主な演出家
宮本勝行
主な役者
宮本勝行
山口雅義
主なスタッフ
劇団の公式ホームページ
にんじんボーン

過去の公演

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こ・と・ぶ・き (94.12)

(下の文章の文責:まねきねこさん)


12/22(木)7:35:35PM 晴 新宿・シアターサンモール ニンジンボーン
 「こ・と・ぶ・き」  作・演出:宮本勝行  ほぼ満員

 しあわせ・ねこ。楽し楽し。それにとてもいーかんじ。ちと辛いけど暖かラスト◎。

 帰って来た元僕らの調査局主宰・宮本勝行。劇団解散後、初作・演出作品。初日。
 お話し。クリスマスイブ。ボーイスカウト、ガールスカウトのお兄さん、お姉さん
 達が、子供達のための人形劇をつくるってもの。

 ねこ、笑い放し。TVバラエティのお芝居?みたいな感じも。でも内輪受けとか、
 姑息なこと、もち一切なし。はずしそうで外さない節度。どたばたしてても、一本
 とおっていて、きちんとお芝居。お洒落。とても気持ち良いです。
 テンポ快調◎、お客との間合いも◎。すれ違い、わけわbな「°tノ据_が出た
 りの会話が、素直に可笑しい。2時間、落ち込みないのは、すごいと思う。

 芝居を創っていくとこ。めちゃみたいだけど、登場人物達が本気なのがよくわかる
 だもんで大笑いの後、ラストは泣けた。大人はつらい。けど、いいこともある。
 そんなこと、つらつら想い、少ししあわせ気持ちのねこ。

 役者。僕調で観た人達。やっぱ、宮本勝行(チラシ・クレジットにないけど出てる
 )、山口雅義二人の個人技がすごい。絡むと夢の最強コンビすね。二人とも最初か
 ら最後まで出ずっぱり、嬉し嬉し。これで、きれいな細谷さんも出て、絡めばいう
 ことないのになあ。

 折り込みチラシなし。今回のチラシとはんぴらアンケート用紙だけ。チラシがない
 のは、すっきりしてて○。でも、ごあいさつ文くらいは、読みたい気もする。

 当日券、中央から後ろの席結構あり。24、25日は、後ろの席空いてるとのこと


(下の文章の文責:一寸小丸さん)


ニンジンボーン Vol.1「こ・と・ぶ・き」12月25日7時半(1:55')
新宿/シアターサンモール 前2500円 当3000円 12/22〜25(6ステ)
作・演出/宮本勝行 03-5385-3957 客150(5割)

今年の初めに宮本氏主宰のTEAM僕らの調査局を解散し、居残ったメンバーが結成し
たパーマネントモンキーには加わらず、細谷マリコさんらと作ったプロデュースユ
ニットが「ニンジンボーン」だ。毎回、違った役者を集めて公演する。第一回の公
演がいきなりキャパ300のサンモール、それもクリスマス期間の公演というのは
全くムチャであるが、小屋を押さえたのは去年のことであり、僕調がビッグになる
はずの予定だったのだから皮肉である。が、しかし、それも宮本さんらしい。

もちろん僕調の面白さの何割かは奥居さんのすごさにあったわけだが、かといって
パーマネントモンキーをいまいち見る気にはなれなかった小丸である。宮本さんあ
っての奥居さんであるのは当然だ。

今回の出演者は、宮本・山口が僕調からだが、あとは別のユニットからだ。異質な
芸風の役者達であり、宮本ワールドの構築には至っていない。しかし、今の小丸に
とって、なにゆえ宮本さんの描く舞台が呼吸困難に落ちいるほど面白いのか、大き
な問題となっている。今年のレビューは今年のうちに、と書き始めたのであるが、
やっぱ宮本ワールドの解析は、簡単には済みそうにない。日をあらためよう。(今
日、田舎に帰っちゃうの、寝クリスマス・寝年末・寝正月が明けたら会いましょう)

簡単に言うと、宮本さんの描くものは、芝居自体が演劇批評なのです。客観化であ
り、自己相対化の肌触りなんです。言ってて、自分でも意味わかってません。

なんせ、宮本さんの世界に私がひっかかったのは、「豊島園に身体障害者の集団を
引率していく」というコント!ですから。あたしゃヒキツケ起こしました。息が止
りましたもんね。

今回もイロイロあったんですけど、やっぱり「いじめ」のネタでしょう。太った女
性を相手に、イジメそのものを徹底的に宮本さんが演じてました。暴力とか恐喝と
かじゃありません。陰湿に、女性の手のひらにツバを吐き、これが1万円だ、これ
で缶ジュース買ってこい、とか言うの。ツリも持ってこいaAと加えるの。いいな
あ。演劇がイジメを描けるとしたら、これしかないよな。

見終わって「もうちょっと分析したいと思ってます。」



(このレビューの文責:村田さん)


 もと「僕らの調査局」主宰の宮本勝行が長いブランクを経て行っ
た公演です。「小津のまほうつかいシリーズ」「青木さんちの奥さ
ん」っぽいと言えばその雰囲気が掴めるでしょうか?どっちも見て
ない人にはわからないですね。ボーイ(ガール)スカウトのメンバ
ーが、夕方から始まるお楽しみ会のために人形劇をやることになる
。お互い顔を合わせるのは初めての5人が、何とか人形劇を創ろう
と努力する話です。小品なので佳作といった感じでしょうか。

夫も巧さが目立っていました。

 やっぱり宮本氏が素に戻って、吹き出してしまうところが一番面
白い。邪道ですが、面白いんだから仕方がない。あと、細かいギャ
グも「あ、これじゃあ笑えないな」と感じるようなネタの場合には
ちゃんと二転三転のオチが噛ませてあって、うまいモンだと思って
しまった。詳細は忘れましたが、なんかダジャレ言ってもその後に
二重三重のオチが待っている。芝居自体は単純な構造ですが、随所
に「巧みな」部分があって安心してみていられたと思います。

 観てすぐ後よりも、ずっと後になって良かった感触が残る芝居だ
と思います(誉めすぎか?)。

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【こ・と・ぶ・き】
  ニンジンボーン 第1回公演  作・演出/宮本勝行
 1994.12月末 新宿シアターサンモール (3000円) ほぼ満員
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い・い・ひ・と (95.5)

(下の文章の文責:まねきねこさん)


5/4(木)3:00-5:00PM 曇 下北沢ザ・スズナリ ニンジンボーン
 「い・い・ひ・と」  作・演出 宮本勝行 満員(250?)

茨城・土浦の市役所、それ
 も命の電話課なんて設定からして、「いじめと差別」ねた爆の予感。デフォルメさ
 れた「いなか者」達は、たがいにばか、百姓よばわり。女性職員に「俺の陰毛もっ
 てけよ」のセクハラ万歳、それが常識な世界。芝居ならではの異様さ。面白し。

 でも、無神経まかり通るかというと、ちと違う。仕事の内容はめちゃくちゃだけど、
 律義にしてたり。態度自体は意外と実直だったり。罵詈雑言する側も、それなり気
 つかったりする。言われる側も、馬耳東風そうで傷ついている風にも見える。この
 辺のバランスが絶妙。宮本勝行、憎いあんちくしょう です。ねこは、芝居じゃん
 で大笑いしてたけど、後ろのおにいさんは終演後、激怒してた。この辺も面白し。
 役者。職人・山口VS宇奈月、○。山口さんは変わらず怪演。ともかく楽しい。
 (5/2-7)



(下の文章の文責:一寸小丸さん)


にんじんボーン Vol.2「い・い・ひ・と」5月7日3時大楽(1:55')
下北沢/ザ・スズナリ 前2500円 当3000円 5/2〜7(8ステ)
作・演出/宮本勝行 03-5385-3957(ボーンオフィス) 客150(満員)

宮本氏が主宰していた「僕らの調査局」を「辞めて」作ったプロデュースユニット
がこのにんじんボーンだ。毎回、役者を集めて公演。昨年末のサンモールでの旗揚
げ公演に続く第2弾。僕調時代からの山口さんは今回も出演。客入れで河野さんが
手伝っていた。

地方の市役所っぽい公的施設にできた「いのちの相談室」みたいなテレホンサービ
スが舞台。電話受付初日のてんやわんや。いい人達の、平和な親切の場に、一人の
悩み多き女性が闖入。さて、どうなる。

見るべきシーンは一つのみ。相談室側の人々が全員目が悪いという設定で、メガネ
をまとめて修理に出しているというその日、悩む娘は「石野真子」に似ていると言
うのを信じて親切を施す。めがねが修理から返ってきて彼女を見た瞬間の沈黙こそ
が・・・唯一の演劇。

すごかったんだよ。「死にたい」とかいうその娘を、みんなして「頑張れ」って応
援してて、そんでめがねをかけて彼女を見た宮本さんったら・・・。世の中の不条
理に対し、沈黙のみで表現するんだから。そんで、山口さんとかに、「とにかくメ
ガネかけて見てこい」と指示し、でもって見てきた彼らと顔をつき合わせて、やっ
ぱり沈黙で、「なんだよそれ」みたいな憤り。すごかったぁ。

でも、この芝居、問題も多い。と言うのは、プロデュース公演の宿命ですから過渡
期だと思って見守るしかないのですけど、役者がねえ・・・。宮本さんの書くホン
はギャグなんかありません。それをギャグみたいに演じたり、変に演劇したりする
と、全く笑えないのです。こういうのは僕調の女優や若手もできませんでした。宮
本、山口、奥居ぐらいでした℃居ノ曹キ髑対的な距離が感じられないといけな
いのです。難しい。でも、それができないと、宮本さんの世界は生まれません。

いい役者と出会って、世界が描かれることを期待しましょう。

見終わって「次回7月は細谷さん作のオムニバス。期待は高まるばかりです。」



Vol.3 す・ま・い・る (95.07)

(下の文章の文責:一寸小丸さん)


にんじんボーン Vol.3「す・ま・い・る」7月15日(土)7時(1:41')
下北沢/駅前劇場 前2500円 当3000円 7/13〜16(6ステ)
作/細谷マリコ 演出/宮本勝行 03-5385-3957 客130(満員)

僕らの調査局(86年設立)を主宰していた宮本氏が、94年2月に解散して新たに設立
したプロデュースユニット(94年12月旗揚げ)。毎回、役者を集めて公演している。
加藤健一事務所大杉裕演技教室の一期生(83年度)は、宮本、細谷、三浦勇矢ら。一
期下に山口雅義。

僕らの調査局は、ショートコント20〜30本を一気に見せる「缶みかんシリーズ」
が高い評価を受けていたが、宮本のオリジナル作品「小津のまほうつかい」が更に高
い評価を受け(初演は91年7月)、以後多様な作品を上演するようになる。この「小
津」は90年12月に6本の短編を6人の役者がプロデュース(作・演出)する形で行な
われた際の宮本作品が元になっている。その時、この宮本の「英雄」以上にナイーブ
で泣かせる芝居だったのが細谷作の「宿題じゃない絵日記」だった。

てなわけで、細谷作品を宮本による舞台化となれば、期待は高まるばかりでございま
す。結果やいかに・・・。

泣けます。胸がいっぱいになりました。小丸にとっての本年ベストワン率、高し。

●ブンガクが、文学として憧れと影響力を持っていた時代。

作家の伊吹先生は、今日も編集者を伴って、小料理屋の裏手の空き地にイスを
持ち出して一杯。気のいいおかみと、看板娘のせっちゃんが、あれこれと世話
を焼いてくれる。できあがった原稿を前に、陽気なおしゃべりに花が咲く。

編集者の中山は、15年ぶりの同級会へ遅れて到着。みんなは既に二次会へと
移動しており、幹事役の木崎だけが待っている。木崎とは今も親しい間柄。彼
も翻訳の仕事をしており、しばしば会っている。もう一人、待っていてくれた
人がいた。昔、とっても地味だった山田(女性)である。まさに15年ぶりの
再会。なんだかすっかり変わっていて、とてもきれいになっていた。独身の彼
女は、中山に見せたいものがあるという。書きためていた日記風の雑文だ。読
む中山。ちょっと感動する。残りのも読みたくなり、また会うことを約束する。

ドイツ語の翻訳をしている木崎は、見合いをすることになった。相手はお嬢様
である。名家・深大寺家の令嬢と、来週・・・。

深大寺家の姉妹は舞い上がっている。妹の初めての見合いの相手は、好青年で
あるかのよう。殿方のことはよく知らない二人は、あれこれ想像しては動揺し
ていく。

深大寺家令嬢と木崎との見合い。妹の見合いに姉が興味深々。ウェイトレスに
変装して。どんどん口をつっこみ、気がつくと姉と木崎が楽しげに語らってい
る。

伊吹先生は若手編集者を伴い、いつものようにせっちゃんをからかいに小料理
屋の裏手へ。せっちゃんは無邪気で、気が休まるのだ。しかし、その日、せっ
ちゃんはなかなか出てこない。おかみが現われ、せっちゃんが急死したことを
告げる。聞こえていた風鈴の音がやみ、小雨がちらついてくる。伊吹先生は、
いつもよりちょっとだけ苦いお酒を、ひと息に飲み干した。

宮本演劇というか、宮本メソッドが、かなりのレベルに達しました。これをやりたか
ったんでしょうね、とか思えるできばえです。よけいな装飾はいらない。よけいな演
技もいらない。淡々と、心の内面の交流を綴っていく。役者は登場してイスに座る、
あるいは板付きで、明かりがついた時には座っている。そして、ほとんど移動せず、
たくさんの会話を交わす。そして暗転。あるいは場転。今回は回り舞台になっていて
次のシーンに明転で移る。

淡々としていても、その人の思いがちゃんと伝わることが大きい。逆だ。伝えるため
には、余計なことはいらず、しっかり内側が見える芝居をすればいい。ナチュラルな
芝居を形だけやっても、何も伝えられないものが多いのと対称的。宮本さんとか山口
さんとかほんとにうまいから、リズムでもって会話してても、心の動きが手にとれる。

秀逸は、宮本・三浦・入江の同窓会でのシーン。宮本・三浦がとてもいい場を作って
いて、そこに現われた入江さんの不安とか困惑をうまく包みこんで、暖かくしていく。
素晴らしかった。胸を打ちますねえ。その後の宮本さんと入江さんの物語が広がって
いきます。ドラマは果てしなく続く。

会話が生まれる必然性があるの。伊吹先生は、安らぎのために会話をしに来ている。
同窓会ではハイになっている上、仲のいい二人は軽口を叩き合うことが自然。見合い
を前にした姉妹は、不安であるがゆえ、話しを止めることができない。必然性が、た
くさんの会話を産み出していく。

山口さんと宮本(宇奈月)さんと三浦さんと入江純さんと新井絵美さんと渡辺杉枝さ
んが、ほんとに個性を発揮してて、素晴らしかった。名前と顔が一致したよ。

知人が、「宮本さんの芝居って、新劇に対する演劇批評だ」と言ってた。それは僕調
時代から私が感じていたことだ。でも、今回の芝居では、その先へ抜けたと思う。

見終わって「宮本さんの演技が、すごすぎる。」



(下の文章の文責:にしかど)


〇〇〇〇〇〇〇〇〇 す・ま・い・る × にんじんボーン 〇〇〇〇〇〇〇〇〇

太宰治の短編小説をユニークな視点で料理した粋なコメディー(チラシより)

●ブンダン、ブンガク、そんなかおり

(1,はな) いいわあ、こういうの。あこがれちゃう。(^_^)
(1,マル) いいよねえ。悠々自適。
(1,はな) ほんと、粋なのよねえ。ガード下の飲み屋の裏に、自分専用の場所
を作ったりしちゃってさあ。
(1,マル) みんなに尊敬されてねえ。
(1,はな) 毎日ゆっくり飲み明かして、朝の味噌汁よ。(^_^)
(1,マル) でもさ、じつは、けっこうさみしい生活じゃない?
(1,はな) まあ、地味は地味よね。
(1,マル) だってさ、一緒に飲んでるの、編集者ばっかじゃん。
友達いないってことじゃない?
(1,はな) みんなやっぱり、先生(山口雅義)相手でペコペコしてるしね。
でもさ、だから、あの、飲み屋の、せっちゃん(新井絵美)よ。
ちょっと抜けてる元気な女の子。
(1,マル) せっちゃんのこと、先生は、ほんと好きだったんだよね。
憎まれ口ばっかり叩いてたけどさ。
(1,はな) せっちゃん死んじゃって、ほんと悲しかったなあ。
みんなの心にあかりがポッと灯ったのに、先生の心のあかりだけが
ふっと消えちゃったね。
(1,マル) 泣けるよね。

●山口雅義のスゴイ演技は演技?

(1,はな) それにしてもさ、作家先生役の山口雅義さん、すごかったなあ。
いつもにっこりしながら、ぽそぽそとしゃべるだけなのに、気持ち
がビンビン伝わってくるの。感動的だわ。
(1,マル) うん。俺も。惚れちゃった。
コピーにさ、「やさしくて、かなしくて、おかしくて、物語。」
ってあるんだけど、山口さんの存在って、まさにこれだよね。
やさしくて、かなしくて、おかしくて。
(1,はな) 演技してるって感じじゃないんだけど、ナチュラルっていうのとも
違うし……。なんなのかしら、あの感じは。
(1,マル) 天才っていうんだよ、ああいうの。
(1,はな) 私はあと、エキセントリックなお姉様の渡辺杉枝さんが好き。
(1,マル) あの人、ああいうちょっとアーパーな役、うまいよね。
俺は、編集者の中山の宇奈月慎太と、作家志願のはっちゃんの入江
純のシーンが好きだったな。希望の匂いみたいなのが。
(1,はな) 無防備にあふれちゃうのよね。お酒入ってるし、同窓会だから。

●あえて苦言、ってほどでもないけど

(1,マル) すごく良かったんだけど、あえて気になったところをあげると、せ
っちゃんが死んじゃったってことだな。死なないで終わらせること
はできなかったのかな。あと、はっちゃんの話の続きも、もうちょ
っと見たかったな。ゲスかもしんないけど。
(1,はな) それはゲスってものだわ。あの終わり方は絶妙よ。(^_^)
わたしは、もうちょっとアクの濃いものも見てみたい気もする。
あと、役者さんが、みんな山口さんみたいだったらなあ。
(1,マル) それはムチャな注文だ。

●では、恒例の天気予報。

(1,はな) 快晴。(^_^)
(1,マル) お、ふたりそろったね。俺も、晴れ。
(1,はな) ではごきげんよう。(^_^)/

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【す・ま・い・る】 にんじんボーン
 作/細谷マリコ 演出/宮本勝行
 1995.7.13-16 駅前劇場
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−−− 「にんじんボーンと太宰」

佳作だったにんじんボーンの「す・ま・い・る」の題材が太宰治の
短編小説だということで、原作も読みたいなと思っていたところ、
友達が探してきてくれたので簡単に紹介しときます。「眉山」とい
う作品で、新潮文庫の「グッド・バイ」に収録されています。

「す・ま・い・る」の3つの物語のうち、「眉山」は「くじきた」
の部分にあたります。タイトルは、両方とも、主人公?の飲み屋の
女の子のあだ名です。原作では、ピアニストの川上六郎氏を「川上」
と紹介したところ、彼女が「川上眉山」と勘違いしたので、それを
バカにして「眉山」というあだ名をつけたということになっていま
す。さらに、みそ踏み事件のあとは、「ミソ踏み眉山」というふう
にエスカレートしています。このあたりからもわかるように、原作
では彼女はかなりあからさまにバカにされています。

にんじんボーン版では、客のはける9時にやってくるから「くじき
た」、というふうにあだ名が穏健になっているし、彼女に対する軽
蔑がかなり薄められていたようです。原作では軽蔑の色が強い分だ
け、ラストでの太宰の「自分を責める気持ち」が強く滲んでいるの
ですが、にんじんボーン版では、むしろ女の子への愛情が強く感じ
られました。これは、先生と女の子を生身の役者が演じたというこ
とのせいもあると思います。言葉がどんなにきついときにも、先生
役の山口雅義の視線には愛情がありましたから。

残りのふたつの物語にも原作があるのでしょうか。
知ってる方いましたら、教えてください。



(下の文章の文責:まねきねこさん)


7/16(日)3:00-4:40PM 晴 下北沢・駅前劇場 にんじんボーン
 「す・ま・い・る」 作:細谷マリコ 演出:宮本勝行 
 椅子席最前列上手(前桟敷5列あり)より  客席9割110

 微笑みながら、涙ねこ。素敵でした。

 お話。昭和10年代ころ。本の小料理屋の裏に陣取り、お気楽一杯の作家と編集
 者達。同窓会に遅れた編集者と翻訳家、日記を見てという同級生の女性。良家の
 姉妹。くだんの翻訳家と見合いに不安な妹と、気遣う姉。3つのお話が触れ合い
 ながらつくる小宇宙。(太宰の原作、どなたか教えてくださいませ。)

 上辺の言葉だけじゃない誠意が、すっと感じられる。きつい言葉もある。けど、
 気遣う気持ちがそこに感じられる。言葉を越えた優しさ。素敵なお芝居。

 お嬢様のお姉さん。話ができる男性と出会えた嬉しさに、はしゃぐとこ。手放し
 のそれに、気持ち軽くなるねこ。女性のふわり感、高野文子のまんがを連想。
 小犬みたいに元気、死から一番遠そうだった小料理屋の女の子。死んじゃう、前
 触れも無く。ばかやろう。切なくてどうしようもなくなる。泣くねこ。
 作家役の山口雅義は、巧さを越えた淡々さ、◎。宮本勝行の絶妙演技は、観れる
 だけでうれしい。

 毎回、作風違うから、次回はどーなるかと。細谷さんも、役者でまた出て欲しい。
 (7/13-16)


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にしかど(nskd@enpe.net)