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坂の上の家 (95.07)

(下の文章の文責:まねきねこさん)


7/22(土)3:00-3:35PM 曇 下北沢ザ・スズナリ 第1回OMSプロデュース
 「坂の上の家」   作:松田正隆(時空劇場) 演出:竹内銃一郎
前売3200、当日3500円(劇場03-3469-0511) 3列目上手より 客席9割(110?)

 お話。第1回OMS戯曲賞大賞の本。長崎。二親と死別しながらも、懸命に生き
 る兄弟達。夏。お盆。精霊流しの季節。今年はすこし違う。兄が大事な人を連れ
 てくると、いうのだ。

 舞台。少し古びた家の居間。奥には玄関への廊下と窓、下手には2階への階段。
 古びても清潔で、安らぎを感じさせる。みる前から、芝居が好きになるような舞
 台、◎。スポットライトは、テーブルと、窓際の朱色の花に。家族の場と生きる
 人達、象徴するような。いいなあ。

 ちと、高揚ぎみな兄弟達の会話。終始明るく、生き生き。くっきりした人物と演
 出。微笑みねこ。芝居が進み、暗い背景が隠れていることがわかってくる。中盤
 、兄の恋人いれて4人で写真。失ったものはかえらない、今をつなぎとめたい、
 残したい。彼らの語られない思いを想像し、胸がいっぱいに。明るく振る舞う姿
 を観ながら、自然と涙があふれてきたねこ。

 生きている芝居、役者にであえてうれしい。さらりしすぎとか、原爆症の絡みが
 唐突とか、シニカルな見方は、つまらないと思うねこ。
 役者。叔父役の小田豊。若い劇団員に出せない、味わい。どこか後ろめたさを抱
 えて、でも温かくて。妹役の洪仁順。元気な明るさ。時に見せる憂いを秘めた瞳
 が印象的。まだ21歳だそう。ほかの舞台でも、観てみたい。(7/21-23)



(下の文章の文責:にしかど)


すばらしいすばらしいすばらしいすばらしいすばらしいすばらしい。

観たのが楽日でなかったなら、皆様におすすめするために、この5
文字をカット・アンド・ペースト百連発、画面を埋め尽くしたかも
しれません、わたしは感激のあまり。

なにがすばらしかったかってそりゃすべてですが、まずは役者をた
たえたいです。特に末の妹を演じた洪仁順。大学3年生で、舞台経
験は数えるほど、写真もあんまりぱっとしない感じなので、ほとん
ど期待していなかったのですが、ふたを開けたらあらまあびっくり
ぎょうてん火の車。ほいさっさ。

最近は批評的っぽいまなざしで舞台を眺めてかかるヒネたオヤジと
化しつつあるわたしですが、彼女の魅力の前ではそんな視線ごと体
が砕けて海のもくずと化してしまったのでした。変なことを書いて
いるのはお酒のせいではありません。……だけではありません。

演出家の竹内銃一郎氏は、OMS戯曲賞を受賞したこの脚本を、兄
妹の話である前に男女の話である、なんておそらくは作家の意図を
誤解して語っています。ぴあなどで。それを読んで、何言ってんだ
かこのオヤジ、と思った方も多いことでしょう。はいわたしです。
しかし、そんなわたしも、舞台をみて納得しました。

そうです、ホンちゃんです。いや、脚本ぢゃなくて、洪仁順(ほん
・いんすん)ちゃん。彼女の存在が、戯曲の意味をねじまげたので
す。彼女が、しずかにつつましくしっそにただイモウトイモウトし
ているなんてのが考えられるでしょうか? たとえ兄弟役だからと
いって、二人の兄が彼女に惚れずにいるなんてことが可能でしょう
か? わたしだったら無理なのだ。 と思わせるその可愛らしさ。
その強い意志を秘めた眼差し。その優しく伸びた足首。その声。

いや、もしかして、そういう演出を施したからこそ彼女がああいう
ふうに生き生きと輝いたのかもしれません。だとしたら竹内さんあ
なたはエライ。でもいや、やっぱ、彼女の力でしょうね。

とにかくわたしは彼女をみていてなぜかひたすら泣けました。

まずは、とかことわっておきつつ、ホンちゃんのことばかり書いて
しまいました。まだまだ稿を改めて書きますよ、わたしは、すばら
しかったこの芝居について。

−−−

先日は酔って帰るなりすばらしいすばらしいホンちゃんすばらしい
などと書いたものだから、またおおげさな、とか、若いのおフォッ
フォッとかお思いの父兄も多いことでしょう。婦警は少ないでしょ
う。フケ、いやいや、who cares?

しかしでもしかし、彼女という素材が実質的な初舞台であのような
作品のあのような役に出会い、あの瞬間あのように輝いたというこ
とは、ほとんどキセキのような出来事ではないでしょうか。

全英オープン最終日最終組最終ホール、ロッカのキセキのバーディ
ー・パット、泣けました。しかし、穴にタマをねじ込むのだけがキ
セキではありません。そのようにわかりやすくはなく、記録される
ことも再現されることもなくはかなく、安心できる理屈の裏付けも
なく頼りなく、ただ自分の感覚に白旗降参ではちゃめちゃに肯定す
るしかない、ひどくパーソナルなキセキ。

劇的、な。


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にしかど(nskd@enpe.net)