ポツドール


概要
構成員
主な作家
三浦大輔
主な演出家
三浦大輔
主な役者
小林康浩
糸田淳一
溝口真希子
長澤素子
野平久志
主なスタッフ
舞台美術/田中敏恵
製作/荻野智子
公式ホームページ
http://www1.ttcn.ne.jp/~potudo-ru

過去の公演

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しあわせ花〜不幸なアナタへ〜 (98.2)

さて、そのようにして、私=にしかどが、「公演案内の部屋」から
毎月1つを選んで観に行くという企画がスタートしました。

栄えある最初の犠牲者は、「おすすめ芝居」のコメントで予告しました
とおり、ポツドールの「しあわせ花〜不幸なアナタへ〜」です。

ポツドールは、早稲田の演クラ(演劇倶楽部)内の劇団で、今回が第3回
公演。学外の劇場は初。以前から、挑戦的なタイトル(「ブサイク〜劣等感
を抱きしめて」「ウラミマス〜アナタは動物」)で公演打ってましたから、
気にはなってました。

 「まだまだ汚いことをしたいという欲」がある、「こういうのって、
 エスカレートするしかない」、だから「ピンク映画を観に行くような
 後ろめたい期待を持って」観に来てほしい、だけど「めちゃくちゃ
 ポップな芝居」だから「大丈夫」。

作・演出の三浦氏の案内文を勝手にまとめると、こうなります。
作者が大丈夫というからには、きっと大丈夫なんでしょう。
会場に着いてみると、客入れのお姉さんは清楚な美人。
そして受付にも客席にも、スマートな人種がいっぱい。
これはさすがに、大丈夫でしょう。
でもいちおう、最後列に座った私です。

そして芝居はといえば…
ひとことで言えば、ゲロ。
ふたことで言うなら、ゲロ、クンニ。
そんな芝居でした。

舞台にはスナックのセット。
カウンター、ソファセット、カラオケ、そしてトイレ(大活躍)。
ふとしたことからスナックに足を踏み入れた中年の工員。
そこは、酒まみれゲロまみれ血まみれセックスまみれの閉鎖空間。
しかし工員は、美しいママ=ヤクザの女房に人目ぼれ。
それが地獄のはじまりでしたとさ。

松尾スズキの影響は顕著です。
特に、「マシーン日記」でしょうか。
「マシーン日記」は笑いの要素が少ない分、陰鬱さが舞台にこもって
くる感がありましたが、この舞台、笑いの要素はほぼゼロです。
笑いの代わりにあるもの、それが「汚さ」でしょうか。

登場人物が口に含んだものを吐き出す、それもただ吐き出すのではなく
他人の顔に吐き掛けるシーンが、一度や二度や三度や四度ではありません。
物語上の必然性とかスパイスとして入れるなら、ここまでやりません。
ケロイド顔の女、変な液を出す障害児、下半身のない男、彼らもまた、
広い意味での「汚さ」を引き受ける者達です。

「汚さ」には力があります。
「汚さ」をこれだけ舞台で過剰に目の当たりにすると、
「汚さ」に対する価値判断が揺さぶられるんです。
それは間違いのないことで、そういう意味ですごく力のある舞台でした。

実際問題としては、閉鎖された世界の強度がうまく表現されていないし、
キャラクターの描き込みが弱くて各人なりのどうにもならなさがみえないし、
背後に隠されたものの示唆とか含みの要素も乏しいってことで、
舞台は相当に直球勝負になってました。
それで「汚さ」ばかりが目立つ結果になっていて、その辺はちょっと
何とかしないとダメだろうと思うんですが、
その辺をクリアーしたらどんな舞台になるんだろうなっていう
期待は、やはり持ってしまいます。

ラストは、地獄絵図が極限に達したところに生まれる笑いっていうか
狂気の希望みたいのを示唆して終わります。
そこではきっと、何かが相対化されて楽になっていて、
それってやっぱり希望なんだろうなあ、と考えることしばしの私でした。

舞台以外の部分では、受付まわり(お手伝い軍団?)がよく働いてるなあ
って印象でした。これは早稲田の演クラの良き風習なのでしょうか。

ではまた来月。



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にしかど(nskd@enpe.net)