遊演舎


概要

構成員
主な作家
樋山一美
主な演出家
樋山一美
主な役者
井口よしみ
かねこみちこ
やましたけいこ
中村晴代
主なスタッフ
劇団の公式ホームページ
不明(たぶんない)

過去の公演

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センチメンタル・アマレット・ポジティブ


 遊演舎夏椿の『センチメンタル・アマレット・ポジティブ』をみて
きました。シアターガイドの片隅にポツンと載っていた公演で、劇団
についての情報はゼロ。純粋に演目につられてみにいったわけです。
若い女性だけの集団らしく、来る客も内輪ばかり。2ステなのに入り
は1割程度、どうなることかと思いましたが、なかなか楽しめました。
イチ子役の井口がなかなか頑張っていて、まあ、イコジというよりは
ひたすらイチズという感じではありましたが、印象に残りました。

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 この公演をみた方はここにはおそらくいないでしょうが、ホンを知
ってる方は多いでしょうから、ホンについて少し。

 今回強く感じたのは、このホンの世界はイチ子のために動いている
ということです。作者がラストで3人を自殺させたのは、ただイチ子
のためだろうということです。イチ子の、ニ子への愛情のために。

 イチ子の二子への想いには、行き場がありません。育むことも、捨
てることもできません。この想いを、一番美しいままに、今のままに
保存して永遠の命を与えるためには、どうすればいいかということを
考えるとき、死ぬという選択肢は自然に浮かんできます。でも、この
選択肢を、イチ子自身が提案するわけにはいかないのです。それでは
自己中、わがままになってしまいます。

 それで、二子とサン子が死を口にして、イチ子を巻き込む形をとる
わけです。これなら、イチ子の想いの純粋さは完全に保存されます。
すべてのエピソードは、そこを目指して重ねられているようです。二
子やサン子の登場人物としての主体性よりも、イチ子の想いを純粋な
まま保存したいという目的の方が優先されているように、僕には思え
ます。

 イチ子という少女の純粋な愛情のために、ただそれだけのために用
意された、素敵な夢の世界。そこでは、個人の人格よりも、生命より
も、たったひとつのはかない「想い」の方が優先される。このホンの
美しさも不自然さも、この点にあるんだろうな、と思ったのです。

 自殺とか同性愛とかは、僕自身、高校時代には身近に経験した問題
ですが、K君は学校をやめてから一人で死んでしまったし、O君の手
は握られることがありませんでした。現実にそぐわない「想い」なん
て、大抵は現実につぶされてしまうものです。そのことを考えると、
このホンの、そんなにまでに「想い」が大切にされる世界が、きっと
現実には不可能な夢の世界として、僕にはとてもうらやましく思える
のです。

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【センチメンタル・アマレット・ポジティブ】 遊演舎 夏椿
 作:前川麻子 演出:樋山一美
 出演:井口よしみ(イチ子) かねこみちこ(ニ子)
    やましたけいこ(サン子) 中村晴代(シロー)
194.8.23のみ 北沢タウンホール ソワレ 最前列 1割ちょっと
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にしかど(nskd@enpe.net)